「落日」 湊かなえ 著

あだな ≪くれきん≫

湊さんの作品にはイヤミス(読後、イヤな気持ちになるミステリー)のイメージが強いのですが、この作品では希望が見えるラストになっています。 主人公のイマイチやる気のない新人脚本家の・甲斐千尋に新進気鋭の映画監督・長谷部香から脚本の依頼が舞い込みます。依頼内容は千尋の地元で起きた「笹塚町一家殺害事件」を映画化したいという依頼でした。 この二人の女性を中心に描かれるミステリーで、取材が進むうちに2人の幼少期の闇が事件に絡んで行きます。 中盤あたりまでは登場人物の独白も含めて 「香が幼いころ虐待受けていた時に希望を与えてくれた小さな手は誰なのか」 「事件の加害者・立石力輝斗に対する精神鑑定への疑問」 「事件の被害者・立石沙良の虚言癖と歪んだ性格」 「千尋の姉が死亡した交通事故の真相」と場面が目まぐるしく変わるので読みにくいです。 後半は散りばめた伏線を一挙に回収していくので爽快だと思いますが、ラストの香の父親のエピソードについての設定は作り過ぎかなぁー、わざとらしいと感じました。

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