≪くれきん≫
なぜこの作品が日本推理作家協会賞の候補になったのか? 理解に苦しみます。 相馬が小学6年生の夏休みに出会って仲良くなった尚と拓。しかし、兄の尚が行方不明になってしまう。23年後に起きた少女誘拐事件と尚の失踪が関係していることが明らかになっていきます。まず肝心の尚の失踪の動機に同感できない違和感バリバリです。そこに父親の冤罪が出てきますが、冤罪が生まれるプロセスについての解説も先人がすでに沢山の著書で示しているので目新しいこともなく、トリックに関しては全て先が読めます。内面描写が中途半端だからヒューマンドラマとしても感動出来ない。映像としてのイメージが文章で表せていない。探偵の助手がトランクに隠れて犯人の居場所を突き止める場面がありますが、昭和の探偵ドラマかよ!と突っ込みたくなります。 同じように脚本家から作家になった「破線のマリス」の野沢尚(のざわひさし)の作品と比べるとレベルが低いなー、残念な作品でした。
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