「蜜蜂と遠雷」 恩田陸 著

あだな ≪くれきん≫

恩田さんがクラシック音楽というジャンルに切り込んだ作品です。コンクールに参加する四人のコンテスタント(コンクール出場者)の過去から現在の成長を描いてます。この作品の凄いところは物語の大部分をコンクールの演奏シーンの描写で埋めているところです。演奏に合わせて言葉・言葉・言葉・・・読み進むうちに荒らしの中に巻き込まれ、気が付けば明るい野山を無数の蜜蜂たちが群れ飛び交う様子、海辺を走りながら感じる風の音、スターウォーズのような宇宙の音が見えちゃうのです。いや本当にビックリしました。主人公四人は、養蜂家の息子で有名なピアニスト最後の弟子・風間塵15歳、母の死去からピアノが弾けなくなった元天才少女・栄伝亜夜20歳、楽器店勤務のサラリーマン高島明石28歳、亜夜の幼なじみで名門ジュリアード音楽院・マサル・C・レヴィ=アナトール19歳です。登場事物四人の物語をもっと書いて欲しいと思う方も多いと思いますが、これだけの長編ですから仕方ないかと思います。 「世界は音楽で溢れている」という言葉を魂で感じることができる作品でした。

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