≪くれきん≫
こんな法律のある国が世界で20ヶ国もあるなんて信じられない。「女性は家の財産で自分の身体に関する自己決定権がない」なんていつの時代の話だよ。。。
ベネズエラの講義デモに参加する女性
レイプ事件の加害者が被害者と結婚した場合に刑事罰を免れる、いわゆる「レイプ婚姻法」が運用されている国・地域が、世界には20ある。この驚くべき事実が、世界57ヵ国の女性を対象に性暴力や人権侵害の実態を調査したUNFPA(国連人口基金)の報告書によって明らかになった。同報告書は、女性人権団体「イークアリティ・ナウ」が2017年におこなった調査結果を紹介。たとえば、ロシアではレイプ事件の加害者が18歳以上で被害者が16歳未満の場合、被害者と結婚した加害者は刑事罰を免責される。クウェートでは被害者が保護者の許可のもと加害者と結婚し、さらに保護者が加害者の無罪を求めれば、それが認められる。タイでは加害者が18歳以上で被害者が15歳以上の場合、被害者と裁判所が承認すれば、加害者と被害者の結婚によって事件は解決したとみなされる。フィリピンやベネズエラ、イラクなどにも類似の法律がある。 UNFPAの事務局長ナタリア・カネムは英紙「ガーディアン」で、「被害者に罪悪感を転嫁することで犯罪行為をなかったことにしようとしている」と「レイプ婚姻法」を強く批判。また、調査をおこなったイークアリティ・ナウのディマ・ダッボスは、こうした法制度の根底には、女性は「家の財産」で自分の身体に関する自己決定権(身体的インテグリティ)がないとみなす文化があると説明する。女性に身体的インテグリティを認めていない国・地域は依然として多い。同じUNFPAのレポートによれば、43の国・地域で夫婦間のレイプに適用する法律が存在せず、57の国・地域でおよそ半数の女性がパートナーに対して避妊を頼んだり、性行為を拒否したりできないという。 日本でも、配偶者による性暴力も性犯罪になると法律に明示されていない。それゆえ近年、夫婦や内縁関係でも強制性交等罪などが成立するように法改正すべきだという議論が起きている。 前出のカネムは、身体的インテグリティの軽視によってさまざまな問題が生じていると話す。 「身体的インテグリティを否定することは、女性と少女に対する人権侵害であり、それが不平等や性差によって生じる暴力を常態化させています。このような考えは根絶するべきです」 ダッボスは「法改正は非常に難しいが不可能ではない」と話す。モロッコにも「レイプ婚姻法」があったが、加害者とむりやり結婚させられた16歳の被害者少女が、2012年に服毒自殺する事件が起きた。中東や南アジアの一部地域では、結婚前に処女を失った女性は家族や部族の恥とされる文化が根強く残るため、レイプ被害者はコミュニティ内で冷遇される二次被害を受けるという。 少女は「身内の名誉を守るため」と、両親と裁判官に説得されて加害者と結婚したが、その7ヵ月後に自ら命を絶った。だが、この事件を機に女性の尊厳を無視した慣習は撤廃すべきだという声が市民の間で高まり、法律は廃止された。 性暴力の被害者に二重の苦しみを課さないためには、誰もが問題意識を共有し、被害者とともに声をあげることが求められる。 Courrier Japon