天然痘よけの神様を祭っている「疱瘡神社」

あだな ≪くれきん≫

新型コロナウイルス感染が拡大する今、ある神社を参詣する人が増えているそうです。神社には「疱瘡神」が祀られていて、この神様は天然痘や外来の病、人心の乱れなどを引き起こすと言われています。「疱瘡神を祭れば、必ず疫病から逃れられる」との伝説が広がり、藁にも縋る思いで参詣に出かける人が多いのでしょう。自宅待機の人々が放置されて死んでしまうケースも増えてきました。外出も規制され店舗も営業自粛を余儀なくされる。もうどうすれば良いのかわからなくて孤独になり、精神を病んでしまうのも頷けます。現状ではインターネットを利用したコミュニケーションで孤独から逃れるしか方法がないように思います。

新型コロナウイルス感染拡大の中、山梨県上野原市の疱瘡(ほうそう)神社が注目されつつある。疱瘡とは、20世紀まで人類を苦しめた天然痘のこと。神社はその天然痘よけの神「疱瘡神」を祭っている。神社を支えている地元の人たちに歴史をうかがうとともに、普段は公開されていない秘宝「疱瘡婆(ばあ)さん」の神像を特別にご開帳してもらった。疱瘡神社はJR中央線上野原駅から歩いて20分の、旧甲州街道沿いにある小さな社。神職はおらず、地元・塚場地区の人たちが維持している。長老の諸角弘さん(94)によると、次のようないわれがある。江戸初期、疱瘡神を祭る神社がある越前・湯尾(ゆのお)峠(今の福井県南越前町)出身で諸国を巡っていた高齢女性が塚場地区で倒れた。天然痘の跡が残るあばた顔で、「疱瘡神を祭れば、必ず疫病から逃れられる」と言い残して亡くなった。女性は疱瘡婆さんと呼ばれた。人々は湯尾峠まで行って疱瘡神の分霊を迎え、万治4(1661)年に塚場地区に疱瘡神社をつくった。神社に残る木札には「その後、村が栄えた」という記述がある。明治5年、神社を近くの牛倉神社の中に移したところ、塚場地区に赤痢が流行した。「たたり」だとして、3年後に元の場所に戻された。「実は疱瘡婆さんの神像がいつからあるのか、よく分かっていないのです。当初からあったと思うのですが…」。諸角さんはそう言いながら、特別に神像を見せてくれた。高さ15センチの木像。深いしわが刻まれ、柔和な顔をしている。ご祭神はあくまで疱瘡神で、疱瘡婆さんではないが、事実上のご神体になっている。諸角さんによると、戦前までは神社の祭りが盛んで、前夜から子供たちが社殿でご飯を炊いたり魚を焼いたりして過ごす「お籠り」も行われていた。戦後は寂れたが、神社を後世に残そうと平成22年に奉賛会がつくられ、諸角さんが初代会長に就任。26年には3年遅れで350年祭を開いた。「最近、お賽銭(さいせん)が増えているんですよ」。現会長の渡辺英治さん(80)は、新型コロナ感染拡大で、疱瘡神社の疫病退散の御利益への期待が高まっていると感じている。「神様を信じない人も、神社を訪れて、天然痘や感染症全般の歴史を学ぶきっかけにしてくれたらうれしいです」と話す。神社の裏には日本橋から18番目の一里塚があり、甲州街道ウオーキングのコースになっている。一里塚を見るには神社の境内に入らなければいけない。庶務を担当する上野原市議の東山洋昭さん(65)は「ぜひ参拝してください。駐車場はないので必ず徒歩でお願いします。そして東京などからの来県はもうしばらくお待ちを」と呼びかけている。 産経ニュース

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